PM21:00南

3/300

明石市立天文館

明石市立天文科学館(兵庫県明石市)

 

【生解説】有

【料金】大人700円/子ども無料

【周辺施設】なし

【飲食】不可

 

来訪時期:2022年8月

 

 

ついに念願の西の明石に行ってきました。

日本のプラネタリウムの歴史を語る上で欠かすことができない場所。

プラネタリウム100周年のメモリアルイヤーの前にどうしても行っておきたかった。

1950~60年代のカールツァイス・イエナ社製プラネタリウムが現役で活躍しています。

 

西ドイツのカールツァイス社製Ⅳ型投影機はかつて渋谷の五島プラネタリウムで活躍する姿を見ることが出来ましたが(現在はコスモプラネタリウム渋谷の2階に展示されています)、

東ドイツカールツァイス・イエナ社製UPP23/3型投影機を稼働中の姿で見られるのがここ明石市立天文科学館です。

日本のプラネタリウム稼働最長記録(現在も記録更新中)を誇っています。

 

新幹線で新神戸に到着してから30分ほど、JRの明石駅に到着です。

この日は台風が接近しており急に夕立のような雨が降ったりやんだりを繰り返す落ち着かない天候。

ちょうど明石駅についた頃には晴れていたので賭けに出て科学館まで歩くことにします。

さて明石駅、関東住まいの自分でも教科書で必ず地名を覚える町ですので、さぞそういった町おこしがされているのであろうと降り立ちましたが、あたりを見渡してもこの町が日本の標準時刻を担う地であるような気配はまるでありません。

どちらかというと港町としての活気を感じます。

科学館への案内板なども一切見当たらず、あれ、ここで合ってるよな?とちょっと不安になります。

 

明石城側の出口から降り、地図を頼りに住宅街の方へ進んでいきます。

ますます何の変哲もない住宅街の雰囲気に心細さが募りますが、ここまで来たら信じて進むしかありません。

すると突如!

見えたー!

ありました。

この巨大な時計台、見逃しようもないくらい目立っています。

しかし喜びに任せてこの広い道から塔に直行すると無関係のお寺さんの敷地に突き当たり、すごすご引き返す羽目になります。

ぐっとこらえて塔を左に見ながら進んでいくとようやく案内板が見えてきます。

ついに全貌に出会えて小躍りしながら向かいます。

お天気もなんとか持ってくれて良かったです。

入口からはひっきりなしに車が出入りしていました。敷地が広いです。

この東経135°デザイン、館内にも沢山グッズが置いてあってとても可愛い。

敷地内に入り軽く坂を上がると館内への入口が見えてきました。

自動販売機と外で軽く飲食できるベンチもありました。

ピッカピカのエントランスです。

決して真新しい建物なわけではないけれどずっと大事にされてるんだなあと分かる、綺麗な施設です。

自動ドアを抜けるとすぐに券売機があり、こちらで観覧券を購入して館内へのドアを抜けます。

この700円のチケットだけ購入すれば施設内の展示物、プラネタリウムを全て見ることができます。

ロッカーも星座でかわいい。

でたー!

館内はシゴセンジャーがたくさんです。

さて、チケット自体の手続きは入口の券売機で完了ですが、プラネタリウムを見る場合はドアを抜けた先の受付で配布しているプラネタリウム整理券(無料)が必須となります。

この回もこの回も見るからと一度に何枚も戴くことはできず、各回の投影終了後改めてこの受付に来て整理券が余っていれば次に見たい回も見ることができます。

一階のまったりコーナーにひっそりと設置されているステンドグラスがとても素敵でした。

こちらでは子どもたちが本を読んだり、投影時間を待っていたりと思い思いに過ごしていました。

テレビでは延々とシゴセンジャーが流れています。

あと一階には名物おみやげがたくさん並んでいます。どれもプラネタリウムが好きな人の心をくすぐる一品ばかりで見ているだけでも楽しいです。135°定規とクリアボトル、トートバッグを買いました。

プラネタリウムは2階にあり、上階へ向かう手段はエレベーター・螺旋階段・通常階段の3ルートがあります。

エレベーターは装飾が格好良くて中も素敵なので1回は乗ってみたら楽しいと思います。

螺旋階段は登っていて心が折れないようにシゴセンジャーが応援してくれます。

通常階段にもシゴセンジャー。ウオー!

2階に着いてもシゴセンジャーの番組が流れ続けています(1階とは別内容の番組)。

こちらがプラネタリウムの入口です。 

お客さんは皆3階の展示室に流れているようで、プラネタリウムの入場開始までは2階はがらんとしています。

投影直前に行けるお手洗いもあります。

今回はまず11:10~のキッズプラネタリウムを鑑賞します。

入場は10分前からです。

入場口、格好良い。

古めかしい雰囲気で最高です。

左右には小型の投影機の模型が多数展示されています。

入口で整理券をチェックして、座席は自由席。 

中央にはカールツァイス・イエナの投影機がドーンと鎮座していて、入った瞬間にその大きさ、造形の迫力と歴史の重みに圧倒されました。

そんな投影機をぐるりと取り囲むように座席が置かれていて、一番後ろの列はリクライニングがついていません。

ドームに東西南北が据え付けなのが昔ながらのアナログなプラネタリウムの世界を際立たせていて素晴らしいです。

話には聞いていましたが私はこのスタイルの実物を初めて見ました。

 

さて、キッズプログラムが始まります。
全体通して思ったのはBGMのセンスが素敵。
いわゆるジブリやディズニーなんですが、狼なんて怖くないや夜明けではパートオブユアワールドなど。絶妙にワクワクしたりロマンチックだったり。

日没をみんなで拍手で見送る演出や、満天にするときも拍手が入り、ちびっこがなるべく怖くないよう、楽しい気持ちになれるようにという工夫がされています。

解説員のお姉さんの語り口も楽しく、皆飽きずに楽しく星の魅力に夢中になっているようでした。

 

こちらの館では星座絵を映すのに回転式投影器を使用しています。

プラネタリウム本体には星座絵の投影機がなく、コンソールに小さな投影機があり、それを解説員さんが回して星空に合わせていきます。

そのため星座絵はその星座の位置にダイレクトに現れるのではなく、少し離れたところに現れてから解説員さんがどこかなどこかな~とぴたっと位置に当てはめていきます。

 

実物の動きを初めて目にしましたが、この動きがとても面白いですね。

星座だけじゃなくひしゃくなんかも出てきて、星だけの情報で北斗七星を探していたところにイラストがぴたっとはまる、という順序が視覚的に分かりやすく、実際の空で星を探すときにも生かしやすくて良いなと感じました。


それから、全天に映し出される星図が普段よく目にする星座絵の線画ではなく、色付けのされたイラストで、だいぶ雰囲気が違い新鮮な気持ちで見れました。

こちらの星図を出すのにも別の投影機を使用しているそうで、その機械ではよくある夜明けまでドームの中の時間が移っていく演出ができないため、シンプルな星空のみの夜明けを迎えます。

 

古い機械では今時の演出はできないかもしれないけれど、逆に言えば小手先無しの解説員さんの魅力や創意工夫が楽しめる素晴らしい場所だと感じました。

幸いにも次の回の整理券も取れたので、館内の展示をじっくりまわりながら時間を待とうと思います。

とりあえずお客さんが空っぽになったところで2階に舞い戻ります。

ドーム入り口にはプラネタリウム投影機の各部位の仕組みや役割が解説された展示が並んでおり、ボタンを押すと小さな投影機が動いて役割を観察することができます。

 

小さな星空が。

 

まだまだ時間が沢山あるので3階の見学へ。

中央のホールから各展示室へアクセスできるようになっています。

このホール自体の展示も面白く、この町らしい子午線の展示にようやく触れることができて満足しました。

当たり前の顔してそこにいるシゴセンジャー。

まず心惹かれたのは時のギャラリーです。

時計と名のつく物は何でもあるというレベルで様々な仕組みの時計が展示されています。

和時計。

江戸時代のからくりです。たまらんです。

三球儀では地球・太陽・月の動きを模型で観察することができます。

日食や月食の仕組みの理解に最適なとても分かりやすい展示です。

時代を問わず様々な時計が集結しています。

そのまま奥からも隣の特別展示室に繋がっており、こちらでは特別展を開催していました。

【星と海】というテーマでこのあと鑑賞するプラネタリウムの生解説と連動した展示のようです。

さらに奥に進むと常設の天文ギャラリーという宇宙に関する展示室へ。

広々と空間を使っていてゆったりと見学することができます。3部屋くらいこんな感じの空間が続きます。

現代の宇宙研究の解説から、隣の観測資料室では古代・中世の天文学まで展示は多岐に及びます。

天文サロンという名の実質の休憩室もあります。

ここではラックに置いてある蔵書を読んだり、まったりと投影待ちをしていたり、お客さんが思い思いに時間を過ごしていました。

本の内容は天文関連がメイン。

お手洗いもここにあります。

さて、

そんなこんなであっという間に投影時間が迫り、2階へ戻ります。

ちなみにまだ3階より上の見学が一切できていないので投影が終わったら行きます。

 

というわけで再びご対面!

先ほどより客層は大人が多いですが、そうは言っても地元の小学生など様々な世代の方が入ってました。みんなちゃんと静かに聞いていました。

3階の特別展示と連動した「星を使った航海術」という投影テーマです。

前半の流れはキッズプラネタリウムと同じく本日の星空の解説。後半からテーマの内容となります。

 

いや~、大変良かったです。
ドームがひとつの船となって、タヒチからみんなで航海したきたような気分です。

素晴らしい体験でした。
心地の良い波の音と南の星空、小さなプロジェクター映像も駆使して拝見した現地の雲を晴らす歌はいまも不思議と耳に残ります。

 

ところでこちらのドーム、

プラネタリウムの冒頭でのお決まり、街の様子を投影するときに使われているシルエットは切り絵なのです。

古い施設にはよくあった手法だそうで、ドームそのものの裏側が切り絵にされており、影絵の要領で映しています。

なのでよくよく見ていると、暗転して星空を投影している時もそこには星は映っていません。

ものすごくアナログで最初に知ったときは大変驚きましたし、なんと贅沢な影絵!素敵だなと思いました。

 

あともうひとつアナログを感じでニコニコしてしまったのは、星座絵が欠けて見えるんですよね。

前述した通り星座絵をコンソールの小さな機械から投影しているため、中央の投影機で遮られてしまうんです。日食と同じことが起こっているということですね。

 

 

さて、たっぷりと投影を堪能し、

カールツァイス・イエナを取り囲んでガチ写真を収める一団に加わりながらひとしきりはしゃいだあと、今度は4階の見学に向かうことにします。

ルートはこれです。

赤階段。

エレベーターでも行けるのですが、せっかくなのでこの88星座螺旋階段を上がっていくことにしました。

結論から言うとキッツかったです。

アンドロメダ座からあいうえお順で始まり、ほうおう座の辺りで息切れしてました。

でも楽しいです。

途中で離脱できるので、せっかくなら挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

さあ、螺旋階段の休憩地点、4階の日時計広場に着きました。

この辺までは余裕です。

まだまだ建物としては上があるのですが、ここには位置付け的には屋上のような場所があって外に出られます。

様々な種類の日時計や太陽系の模型など大型の展示物がいくつか設置されています。

日時計にこんなに種類があることを私は初めて知りました。

また、景色もとっても綺麗です。

明石の街並みがよく見えて、遠くには明石海峡大橋、そしてその手前を時折電車がのんびりと走り抜けていきます。

 

キッズルームもこちらにあります。

部屋として区切られてはいませんが、空間としてしっかり隔離されているので安心して遊べます。授乳室もあります。

 

さて、一呼吸ついたら一気に最上階を目指します。

(ちなみにここからもちゃんとエレベーターもあります)

常時入れるのは14階まで。

 

ひとつ手前の13階の展望台には景色を見るための望遠鏡が設置されています(使用は有料)。

街並みを見たいのであればこの13階の展望台がおすすめです。

 

さて、14階に到着!

シゴセンジャーが出迎えてくれます。

東経135°のラインも引かれているので記念撮影のネタには困らないです。

14階から下を見下ろすとプラネタリウムドームの全貌も見ることができます。

こちらから見渡す明石の景色も抜群です。

あいにくのお天気ではありましたが、それでもずーっと眺めていたくなってしまうくらい。

穏やかな瀬戸内海の眺めが広がっています。

 

 

館内の見学を終え、ひざが限界を向かえていたので下りはエレベーターで降りました。

名残惜しいですが、たくさんお土産を買って館の外へ。

 

外にも素晴らしい展示があります。

まずはこちらにも撮影スポット、東経135°のラインが目を引きます。

そして観光客がこの線に夢中になると、うっかり背中にして見逃してしまいそうになるこちら。

漏刻という中国から伝わった水時計です。

日本で初めて時報が流されたとき、その時刻を計ったのがこの漏刻という仕組みの時計だそうで、その姿が再現されたこうした水時計は大変珍しいのだそうです。

こんなさりげなく置いてあるのかと驚きました。

この水時計の脇から小道に出られるようになっていて、そちらを進んでいくと来たときとはちょっとだけ別のルートで明石駅に戻ることができます。

こういう道にどうしても惹かれてしまう性なので迷わず進んでいくと、どうやら柿本神社という神社を経由しているようでした。

鳥居を抜けた先には亀の水という水源があり、地元の方が水汲みに勤しんでいた景色が印象的でした。

播磨三名水の一つで、「長寿の水」と言われていたんだそうです。

その後駅に着いてから駅前を散策しているとひとつだけこんなマンホールを見つけました。

東西南北と黄道十二星座がひっそりと。


商店街にもマンホールがありました。

満月のような明石焼きをたらふく食べて帰路につきます。

行けてよかったなあ。